2009年6・7月の営業報告

■はああ……。なんかもう、いろいろテンパっていて、まったく更新する時間が取れません。ホントは仕事の報告だけじゃなくて、いろいろ書きたいこともあるんですが。


■てなわけで、ちょっと気分転換に最近読んだ本の話題を。1冊目は、ドゥエイン・スウィアジンスキーの『メアリー-ケイト』(ハヤカワ文庫)。先月、彼の邦訳2冊目『解雇手当』が出ているのを店頭で見かけて「あれ? この人の前のヤツ、確か買ってたぞ」と思って、本棚から引っ張り出した次第。フィラデルフィア空港のバーで偶然、隣の席に座ったブロンド女に毒を盛られた男、ジャック・アイズリー。最初は「んなバカな」と相手にしていなかったんだけど、吐き気はしてくるわ頭痛はするわで、どうも毒を盛られたってのはホントらしい。あわてて空港に引き返し、ブロンド女をとっ捕まえるが、その女が言うには「解毒剤が欲しければ、わたしから十フィート以上離れないで」。


■とまあ、ここから話はトンでもないところに走り始め、警察官専用のオナニークラブが出てくるわ、生首をバッグに詰めて走り回る殺し屋が出てくるわ、常識外れも甚だしい展開が待っているんですが、いやあ、これがまたバカバカしくて、楽しい。戸梶圭太から生真面目さを抜いてスラップスティック度を100倍にした感じ、というか。もうほとんどマンガ――というか、作者のスウィアジンスキーは実際、アメリカンヒーローコミックスのライター(脚本家)もやっていて、今手がけてるのは『ケーブル』と『イモータルアイアン・フィスト』……かな? 後者は、以前ちらっとここに書き込んだエドブルベイカーの後を引き継いでの登板で、ああ、確かにこのパルプ風味というかノワール趣味は、似ていなくもないかも、と思ったり。


■2冊目&3冊目は、舞城王太郎の短編集『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』(どちらも新潮文庫)。というか、単行本版を持ってたんだけど、積読してるうちに文庫化、新作書き下ろしが追加されてたことに気づいて、購入。相変わらずっちゃ相変わらずの舞城節なので、てろてろっと読んでしまって、「中身も相変わらずだなあ」と思ってしまったのだが、後者に収録されている「我が家のトトロ」がいい。表題の「トトロ」というのは、もちろん、宮崎駿監督の『となりのトトロ』のあの「トトロ」のことなのだが、もちろん舞城の想像力は宮崎駿のはるか斜め上にスッ跳んでいく。その飛躍っぷりが、実に美しい。


■というか舞城はかつて、短編「ピコーン!」(『熊の場所』所収)のなかで、松本人志の「フェラチオを出世させよう」ネタで、恋人が殺された女の子の悲しみを昇華させるという荒業をやってのけていて、実はこの短編が彼の最高到達地点だったんじゃないかと思うのだけれど、あそこで書こうとしていたことを、より鋭く、ソリッドな形で提示した感じがあるのだ、この「我が家のトトロ」は。この小説のなかで主人公の「僕」は、こんなふうに思う。

先にも言ったように、僕だって「トトロ」=「ありえないくらい凄い友達」=人間の希望の作り出す架空の存在が欲しいんだろうから。

人間の希望の作り出す架空の存在! つまり、これは舞城にとっての《小説》のことだ(というふうにしか読めない)。ファンタジーというかフィクションこそが、人々の希望である、ということ。それは、ほとんど舞城自身の信仰告白のようでもあって、なんだかその率直さ加減に呆れつつも、どこか感動せずにはいられなかった。


■あとはまあ、瀬山士郎の『はじめての現代数学』(ハヤカワ文庫)を読んで「ふはあ、半分くらいしかわかんないけど、すごい!」と思ってみたり、あるいは、河出文庫から出直した尾崎翠の『第七官界彷徨』と、リュウコミックスから出た、つばなの『第七女子会彷徨』を続けて読んでみたりしたんですが、そんなところで先々月&先月の営業報告に行きます。なんか眠くなってきたので。


●『アニ・クリ15 DVD×マテリアル』(一迅社

http://www.ichijinsha.co.jp/special/anikuri/http://anime.webnt.jp/

アニ・クリ15 DVD×マテリアル (DNAメディアブックス)

NHKで放映されていた、1分間のショートアニメ「アニ・クリ15」をまとめたムック。日本の今のアニメ業界のなかでも、間違いなくトップクラスの映像作家たちが競作したシリーズですが、その全15本とメイキング編をDVDに収録し、ブックレットにはインタビュー&絵コンテ&メイキング素材を掲載、という内容。このうち約半分のインタビュー・鼎談&メイキング素材のチョイスを担当しました(木村真二×マイケル・アリアス×西見祥二郎、前田真宏中澤一登、ソエジマヤスフミ、小田扉×清水保行)。あとの半分は、アニメ評論家の藤津亮太さんが担当。非常に特殊な形態で放映されたこともあって、決して認知度が高いシリーズではないですが、たぶんこれを逃すと、まとめるチャンスはなかったんじゃないかな、と思ったり(この無茶な企画を通してしまった、一迅社の編集さんがスゴいのですが)。「今の日本の商業アニメ」に興味がある人はぜひ手に取ってみてほしい本です。


●『青い花』公式サイト「週刊 青い花

http://www.aoihana.tv/

7月から放映が始まったアニメ『青い花』の公式サイト。志村貴子の原作を、『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』の監督・カサヰケンイチとシリーズ構成・高山文彦(!)のタッグで映像化……というニュースを目にした途端に、「うわー、そうか、その手があったか!」と頭をブン殴られたような気持ちになったのですが、ご縁があって公式サイトのお手伝いをさせてもらうことになりました(毎週更新)。主に、スペシャトークのコーナーのライティングを担当。本編のクオリティもすさまじくて、個人的には夏期のベストテレビアニメ。


●『ダ・ヴィンチ』2009年7月号(メディアファクトリー
●『ダ・ヴィンチ』2009年8月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 07月号 [雑誌] ダ・ヴィンチ 2009年 08月号 [雑誌]

ぼーっとしてたら、もう2号も出てしまってました。7月号は、レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」(レコメンドはオレンジペコー)と、『漂流ネットカフェ』押見修造への取材・執筆を担当。8月号は「ミュージック ダ・ヴィンチ」のみで、こっちのレコメンドはスガシカオ。スガさんとお会いするのは久しぶりだったんですが、なんだかすごくアッパーな感じになっていて、ニューシングルも、そんな彼の今のモードを素直に反映したファンクナンバー。iPodに入れて、繰り返し聞いてます。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.10(角川書店
●『テイルズ オブ マガジン』Vol.11(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 07月号 [雑誌] Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 08月号 [雑誌]

これも、気づいたら2号出ちゃってたんだよなあ。いずれも、10月3日公開の劇場版『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜』(http://www.tov-movie.net/)の記事を担当しました。あとは、レギュラーの「キムラスカ王国通信」。これは基本的に、事務所の野口くんに任せてしまっているので、全体の構成チェックのみ。


●『コンプティーク』2009年8月号(角川書店

http://www.comptiq.com/

コンプティーク 2009年 08月号 [雑誌]

おお、『コンプ』は久しぶりだな。「夏のアニメ特集」と銘打って、この夏の話題作をいくつか取り上げているのですが、そのなかの『けいおん!』を担当……したハズ。というのも、まだ見本誌が届いてなくて中身が確認できてないのですが(笑)。編集者から「澪推しで!」と言われて、誌面もそういうふうになっているのですが、僕は断然「唯派」です。


●『ニュータイプ』2009年8月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2009年 08月号 [雑誌]

まあ、なんつったってこの表紙がすごいですが、担当したのは現在地上波放映中の『亡念のザムド』。アキユキ、ナキアミ、ハル、フルイチのそれぞれの視点から、これまで(第13話くらい)の歩みを振り返る、という内容。


●『コンティニュー』Vol.46(太田出版

http://www.ohtabooks.com/publish/continue/

コンティニューvol.46

よく考えたら、これも『ヱヴァ:破』か!! アスカが表紙の、6月発売号。でもそれとは関係なく(こんなんばっかだな)、第2特集「菅野よう子の宇宙」のうち、菅野さんへのロングインタビューと渡辺信一郎監督への取材・執筆を担当。結構、面白い記事になってるんじゃないかな、と思います(『ユリイカ』の最新号はまだ見てないのですが)。あとは巻頭の「CNT NEWS」で『青い花』放映開始に絡めてアフレコリポート(?)を書きました。


●『S-Fマガジン』2009年8月号(早川書房

S-Fマガジン 2009年 08月号 [雑誌]

隔月レギュラーの「Media Showcase」コーナー(ゲーム欄)。この回は何を取り上げたんだっけな……。あ、そうか『勇者30』だ。これ以外にも『ダン→ダム』とか、変り種のRPGをいくつか集めて取り上げるつもりだったんですが、紙幅の都合で見送り。スティングの意欲作『ナイツ・イン・ザ・ナイトメア』はどっかでやりたかったんだけど、完全に時期を逃しちゃったなあ……。


●『メガミマガジン』2009年8月号(学研)
●『メガミマガジン』2009年9月号(学研)

http://www.e-animedia.net/b_megami.html

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 08月号 [雑誌] Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 09月号 [雑誌]

でもって、これもレギュラーの『メガミマガジン』。毎度のごとく「キャラクターキャッチアップ」を担当。8月号から新たに、イベントレポートも入ったりして、ちょっと構成が変わっています。あと、9月号ではそれまでの流れもあって『ケンプふぁー』『キディ・ガーランド』の2タイトルを担当(実質の作業は、事務所の野口くんが担当してくれました。僕はチェックのみ)。


●『ミチコとハッチン』第6・7巻(メディアファクトリー

http://www.michikotohatchin.com/

ミチコとハッチン Vol.6 [DVD] ミチコとハッチン Vol.7 [DVD]

『ミチハチ』も、いよいよ折り返し地点。ジャケットおよび封入パンフレットのライティングを担当。封入パンフレットでは、ここらへんからスタッフインタビューを載せ始めてます。


●『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります! 豪華版』(角川エンタテインメント

超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります! 豪華版 [DVD]

劇場版第4弾の『ケロロ軍曹』。豪華版に封入されるブックレットのなかの、吉崎観音へのインタビューを担当している……ハズ。というのも、これもまた、担当者が見本を送ってくれないので、確認できていません(笑)。約2時間くらいにわたってじっくりと、今の吉崎さんが『ケロロ』(マンガもテレビも劇場も含めて)をどう捉えてるのか、を伺いました。ちょっと変わったインタビューになってるんじゃにかな、と思ってます。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』パンフレット

7月放映の第14話からシン国からの来訪者、リン・ヤオやメイ・チャンらも参戦して、新章突入! というわけで、それにあわせた販促パンフが店頭で配布されています。その構成&ライティングを担当。


■そして、『バトルスピリッツ 少年突破バシン』(http://www.nagoyatv.com/battlespirits/index.sms)も、ついに最終回まであと1ヶ月になりました。ここんところ、水着回があったり、脇道エピソードがあったりしてましたが、そろそろ最終決戦に向かうハズ。