『人類は衰退しました』(3)/その1・固有名の欠落

長い文章を書くのは久しぶりなので、どこまでちゃんと書けるかわかりませんが、これから書いてみようと思うのは、田中ロミオの小説『人類は衰退しました』について。しかも第3巻、という実に中途半端な巻数だし、出たのはもう2年近く前なんですが、当時読んで、大変に衝撃を受けたことが忘れられなかったわけです。で、正月休みだしせっかくだし、その「衝撃」についてちょっと書いてみようか、と。


なので、ここでは田中ロミオという極めて優れたゲームライターの資質についても触れることは(たぶん)ないし、また『人類は衰退しました』という、続編が発売されることが楽しみで仕方のないシリーズの全体についても(たぶん)触れません。あくまで第3巻、というシリーズのなかの1巻だけを取り上げます。


人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました 3 (ガガガ文庫)

と言った途端に前言を撤回するようですが、『人類は衰退しました』シリーズは、シリーズ全体を通して大きな――見逃すことのできない特徴がひとつある。読んだ人なら誰でも気づくことですが、このシリーズには固有名詞がほとんど――ごく一部の例外を除いては――出てこない。登場人物も、主人公の《わたし》だったり、おじいさんだったり、助手さんだったり、あるいは妖精さんだったり、もちろん主な舞台となる村も、決して名前で呼ばれることはないわけです。固有名詞というのは、それだけで「情報」を背負ってしまうものです。アドルフ・ヒットラーにせよ、東京にせよ、コンティキ号にせよ、固有名詞はその対象の「それ性」を表わしてしまう。固有名詞で呼ばれることで「それ」は、「それ以外」のモノと区別されるわけです。普通名詞の「犬」は、あの犬やその犬やこの犬……その他もろもろの「犬」を、全部ひっくるめた「犬」(という概念とかイメージ)を指し示すわけですが、例えば「ポチ」や「ハチ」は、ある1匹の犬を指し示すわけです。


さて、固有名詞を回避することで『人類は衰退しました』は何を表現しているのか。……というと、それは簡単なことで、物語が指し示す空間を抽象的な空間へと昇華しているわけです。例えば、この物語の舞台がもし「越谷」だとしたら、私たちは、この物語に描かれた「越谷」を現実の「越谷」と比較して、その距離を測るでしょう。小説の題名が『人類は衰退しました』なのだから、遠い――かどうかは、ちょっとわからないところですが、たぶん未来のどこかの時点の物語であることはわかる。そしてその未来の「越谷」が、私たちの知っている「越谷」とどれだけ違うのか、私たちは読み取ってしまう、ということです。しかし『人類は衰退しました』は、そうした《読み》を回避する。そうした《読みの回避》は、さまざまな描写に表れていて、例えば村の風景は、山と森に囲まれた場所だ、とは描写されるものの、具体的にその山がどれほどの高さで、森がどれほど深いのかは判然としない。逆に言えば、固有名を欠落させることで、物語はどこか寓話の世界に近づいていくわけです。


とはいえ『人類は衰退しません』は、決して寓話ではなく、れっきとした小説です。「寓話」というジャンルを、どう定義すればいいかは議論の多いところですが、ひとまず「現実を抽象化することで、広く流通するようになった物語群」とでもしておきましょうか。いわば、イデアとしての「現実」があって、そこから導き出される――あるいはイデアの光に照らされる「影」として――「寓話」がある、というわけです。現実の事件や出来事を人々が口伝えでリレーした結果として、多くの寓話や童話が生まれてきたことは、多くの研究が教えてくれますが、そこでは「抽象化」が働くことによって、ある具体的なひとつの事件だけでなく、そのほかの似たような事象をも「隠喩」しているかのように読めるし、聞こえる。多くの寓話が一種の教訓譚として読まれる背景には、こうした作用が働いています。


ひるがえって『人類は衰退しません』は、そうした寓話とはまったく違う。そこには、物語の源泉たるイデア=現実はなく(というか実は「現実」ではないものが、その物語のエンジンとなっているのですが)、何かを指し示しているにも関わらず、その「何か」が一見、わからないような仕組みが働いている。とにかく、固有名が否応なく持ち込んでしまうリアリティをあらかじめ封印しておくことで、『人類は衰退しました』は、ここに書かれている「物語」が「物語」以外の何ものでもない――読み手の私たちを取り囲む「この現実」とは、何の関係もないということを主張している。といえるわけです。


自分が「書かれたものである」ことを自覚していること、は近代小説の逃げられない特色のひとつですが、ちょっと話が飛躍しすぎてますかね。とにもかくにも『人類は衰退しました』は、固有名を避けることでリアリティを封印し、自らを「物語」として、読者の前にプレゼンテーションするわけです。実際にはこの第3巻には、2つの重要な固有名詞が登場することで、物語が決着するんですが、逆に言えば「名前が明らかにされる」ことが、物語の終わりを告げるようになっている。これは読んだ人にしかわからないことですが、「ひとまず仮につけられた名前」が「もうひとつの(もともとの)名前」につけ直されるまでを描いた物語として、『人類は衰退しました』の第3巻は読むことができる。


……と、ここからがいよいよ本題なのですが、かなり長い文章になってしまいました。また近いうちに続きをアップします。

2009年11・12月の営業報告

■はあ、あと30分ほどで2009年も終わりというタイミングになってしまいました(というか、更新する頃には年が変わりそう)。バタバタとしていると、時間が過ぎるのはあっという間ですね……。そんなこんなで、今年最後の更新です。


●『Phantom〜Requiem for the Phantom〜公式コンプリートブック』(メディアファクトリー

http://www.phantom-r.jp/

Phantom‐Requiem for the Phantom‐公式コンプリートブック

10月まで放映されていた、アニメ版『Phantom』のファンムック。原作はもちろん、ニトロプラスのPCゲームですね。このアニメ版は、原作の流れを踏まえながらも、いくつか重要な変更が行われていて、大変骨太なドラマアクションに仕上がっています。このファンムックでは、各話解説およびキャラクター紹介、そしてスタッフ対談と主演声優の対談(取材&執筆)を担当しました。なにより、真下耕一監督という強烈な個性の持ち主に、じかに会ってお話を伺えたのが嬉しかったです。


●映画『蘇りの血』オリジナル・サウンド・トラックメディアファクトリー

http://yomigaeri-movie.com/

豊田利晃監督の、4年ぶりとなる新作映画『蘇りの血』のサウンドトラック。あの“小栗判官”の物語を、中村達也さんを主演に迎えて、大胆にリメイクしたという作品ですが、その音楽を中村さんと勝井祐二照井利幸、そして豊田監督の4人からなる即興ユニット、TWIN TAILが手がけているのも話題。ライナーでは、監督と中村さんの対談を収録していて、そのライティングを担当しました(取材自体は、ほかのライターさんが手がけられています)。映画のサントラというだけではなく、音の強度自体もとんでもないことになっているので、機会があればぜひ一聴していただけると嬉しいなあ、と。


●「ANIME GUIDEBOOK 2009 AUTUMN」(ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

http://www.geneon-ent.co.jp/rondorobe/

店頭配布用の無料パンフレット。この冬放映の新番組を中心をジェネオンが手がける作品がまるわかりなカタログです。広報関係のリリース作成をお手伝いした関係で、押井守監督の『アサルトガールズ』の記事を構成・執筆させていただきました。また、コミックマーケット77で配布された同社のパンフレットでは、BDで再リリースされる『ブラックラグーン』(第1期&第2期)の記事を担当させていただきました。そういや、『ブラクラ』第3期もそろそろ始まる……のかな? 『マイマイ新子』の片渕須直さんが引き続き監督をやられるらしく、こちらも楽しみ。


●『コンティニュー』Vol.49(太田出版

http://www.ohtabooks.com/continue/

コンティニューvol.49

vol.48はお休みでしたが、vol.49では『ラププラス』特集のうち、声優陣お三方への取材を担当しました。あと、ライター陣座談会でちょこっとしゃべってたり。加えて、発売されたばかりのカーネーションの傑作アルバム『Velvet Velvet』の、短い紹介コラムを書いてたりします。


●『キャラ☆メル』vol.11(一迅社

http://www.ichijinsha.co.jp/charamel/

キャラ ★ メル 2010年 02月号 [雑誌]

こちらも『ラブプラス』絡み。5ページの構成&小早川凛子役・丹下桜さんへのインタビューを担当しました。そういえば、Twitterで『ラブプラス』のことをつぶやいていた(凛子にどっぷりハマっていた)のをたまたま知人が見ていて、ライターに推薦してもらった……という不思議な経緯の仕事でした。これが社会現象というものなのか、と思ったり。


●『ダ・ヴィンチ』2009年12月号・2010年1月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 12月号 [雑誌] ダ・ヴィンチ 2010年 01月号 [雑誌]

レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」(レコメンドはそれぞれ、スキマスイッチ大橋トリオ)。あと「ブック・オブ・ザ・イヤー」特集の1月号では、「文庫ダ・ヴィンチ」の構成協力および一部執筆を担当しています。「文庫ダ・ヴィンチ」は、アスキーメディアワークス文庫の新創刊をきっかけに、ライトノベルと文芸の中間領域を扱う旨の特集だったのですが……。まあ、なんというか、ヘンなページになってます(笑)。


●『SFマガジン』2010年2月号(早川書房

S-Fマガジン 2010年 02月号 [雑誌]

隔月レギュラーの「Media Showcase」コラム(ゲーム欄)。この回では、スティングの『ユグドラ・ユニオン』を取り上げました。ずっとスティングの作品は「どっかのタイミングでやらなきゃ……」と思っていたので、ようやく書けた、という感じ。シミュレーションRPGの皮を被った“はみ出しモノゲー”というか、こういう作品に出会うとワクワクしちゃうんですよねえ。


●『メガミマガジン』2010年1・2月号(学研パブリッシング

http://www.e-animedia.net/app/index.php?CMD=JMP&ID=mainpool/megami

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2010年 01月号 [雑誌] Megami MAGAZINE ( メガミマガジン ) 2010年 02月号 [雑誌]

レギュラーの「キャラクターキャッチアップ」と「Megamiリポート」を担当。ちょうど番組が切り替わる時期だったので、バタバタしたり。実際の執筆作業は事務所の野口くん&岩村くんにお願いして、僕はチェックと取りまとめをやっています。


●『ニュータイプ』2010年1月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2010年 01月号 [雑誌]

劇場版『なのは』が表紙の新年号。……ですが、それとは関係なく(笑)、新作特集の『HEROMAN』という作品の執筆を担当しています。あのスタン・リーが原作を手がけ、アニメーション制作はボンズという期待の新作。実をいえば、ウチの事務所(アンダーセル)のコヤマシゲトくんが、キャラクターデザインをやっていたりします。身内びいきをするわけではないのですが、これが実にワクワクする作品。まだスタートが告知されていませんが、放映される日が待ち遠しくてたまりません。


●「アニメNewTypeチャンネル」(2009年12月更新分)

http://anime.webnt.jp/monthly-pickup/200912-issue/

あと『ニュータイプ』関係といえば、こんなお仕事もやっておりました。12月に更新された『とある科学の超電磁砲』の設定資料ページ。キャラクター設定は、本誌の再録なのですが、新たに追加になった学園都市の設定用に原稿を書きました。編集部に別件で顔を出したときに「宮さん、『とある』って観てます?」と聞かれて「やるやるやるやる!」と手を挙げた次第。作品自体、すごく楽しんでいたので、何かできるんなら「ぜひ!」と。ちなみに僕は、佐天さんもいいけど初春のファンです。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』第4巻・第5巻(アニプレックス

http://www.hagaren.jp/

鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 4 [Blu-ray] 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 5 [Blu-ray]

鋼の錬金術師』のDVD&BDシリーズも現在、絶賛続刊中。このあたりは、ちょうど第2クールに入った直後くらいですかね。封入パンフレットの構成と執筆を担当。


●『青い花』第2巻・第3巻(メディアファクトリー

http://www.aoihana.tv/

青い花 第2巻 [DVD] 青い花 第3巻 [DVD]

そしてこちらも、続々リリース中のDVDシリーズ。封入パンフレットのコピーというか、短い文章を書いています。2009年を代表するアニメ作品になっていると思いますので、ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。


■あと、12月に開催されたアニメ『青い花』のファンイベントで、司会を務めさせていただきました(阿佐ヶ谷ロフト)。もうすでにニュースサイトなどでもリポートが上がっていますが、ファンの熱がじわじわと伝わるような、そんなイベントになったんじゃないかと思います(たまとわさんが、感想リンクをまとめてくださっています→http://d.hatena.ne.jp/zeroes/20091214。多謝)。僕も、思わず壇上で胸が熱くなってしまいました。


■そのほか、店頭用ビデオプログラムやら某新作アニメの番宣番組の構成手伝いをやってたり……。今年は、『少年突破バシン』で初めてアニメの脚本をやらせていただいたり、はたまた『ポケモンを創った男』の文庫化があったり、アニメムックも3冊? 作らせていただいたり、と充実した1年になりました。来年は、もっともっとおもしろい年になるように、祈りながら。それではみなさん、よいお年を!

2009年8・9・10月の営業報告

■気がついたら、もう3ヶ月も経っておりました……。大物の仕事が立て込んだのもあるんですが、Twitterでちょこちょこツイートしてると(http://twitter.com/camiroi)、仕事以外の「文字書き欲求」が解消されちゃうところもあり。いやまあ、それじゃダメだろう、と思ってはいるのですが。


●『青い花公式読本』(太田出版

http://www.ohtabooks.com/eroticsf/blog/2009/08/24143959.shtml

青い花公式読本 (Fx COMICS)

10月まで放映されていた、アニメ版『青い花』のファンムック。発売されたタイミングが、アニメ放映中の9月頭だったこともあって、アニメどっぷりというよりは原作コミックに軸足を置いた構成になっています。僕は、企画の一部に口を出させていただいた以外は、キャストやスタッフへのインタビュー、原作者・志村貴子の対談原稿、用語辞典などを担当。気づいたらそれぞれ、結構な量になってました……(笑)。なかでも、カサヰ監督×シリーズ構成の高山文彦×志村先生の鼎談記事&志村×羽海野対談は、自分の持てる力をすべて注ぎこみ、そのために大幅に〆切から遅れるという事態に……。いやはや、本当に面目ない(泣)。でも、僕の記事がどうのこうのじゃなく、ぜひ一読してほしいムックになっていると思います。


●『青い花』第1巻(メディアファクトリー

http://www.aoihana.tv/

青い花 第1巻 [DVD]

でもって、その『青い花』。10月からDVDのリリースがスタートしました。そのうち、封入ライナーというかコピーみたいなものを、ちょこっと書かせていただいてます。夏期のテレビアニメのなかでは、ぶっちぎりのクオリティを誇る作品なので、ぜひ。


●『コンティニュー』Vol.47(太田出版

http://www.ohtabooks.com/continue/

コンティニューvol.47

シンケンジャー』が表紙の第47号(9月発売)。で、ここでもやっぱり『青い花』を担当しております。メインは志村貴子への単独インタビュー。この時期、比較的いろんな媒体にインタビューが掲載されたんですが、短いながらも核心をついた取材になったんじゃないかな……と。2時間近くテープをまわしたのですが、そのほとんどは使わなかったという、結構乱暴な取材でした。


●『オトナアニメ』Vol.14(洋泉社

http://ameblo.jp/otonaanime/

オトナアニメ Vol.14 (洋泉社MOOK)

ライターの前田久くんに会うたび「『オトナアニメ』になんか書かせてよー」と絡み続けていたら、書かせてもらえました(笑)。巻頭「『化物語』&シャフト」という特集に「シャフトの魅力はどこにあるのか?」という一文を寄せています。というか最初、編集部からは「何人かのライターで、クロスレビューっぽい感じになります」って聞いていたのですが、完成したものを見ると、僕がひとりで偉そうに書いてるという……。そんなつもりは全然なかったんだけど、まあいいか(笑)。『化物語』の影響ですごく売れたみたいで、書店やAmazonでは売り切れが続いていましたが、今はちょっと手に入りやすくなったのかな?


●『戦国BASARA 公式ガイドブック』(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=200907000011

TVアニメ戦国BASARA 公式ガイドブック

こちらも春〜夏期の話題作のひとつ、アニメ版『戦国BASARA』の公式ガイドブック。このうち、メイキングパートの「原画解説」みたいなものを担当しています。やっぱり圧巻は、西尾鉄也さんが担当されたオープニングの原画。一応、全原画を掲載したんですが、非常に興味深いページに仕上がっています。


●『ダ・ヴィンチ』2009年9・10・11月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 09月号 [雑誌] ダ・ヴィンチ 2009年 10月号 [雑誌] ダ・ヴィンチ 2009年 11月号 [雑誌]

レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」(レコメンドはそれぞれ、城南海Base Ball Bearスムルース)、および10月号では『キャッチャー・イン・ザ・トイレット』の伊瀬勝良さんへの著者インタビュー、11月号ではザ・クロマニヨンズ甲本ヒロトさんの「オススメの1冊」のインタビュー記事を担当しています。取材前、クロマニヨンズの新譜を聞きながら「なんかジョナサン・リッチマンみたいだなー」と思いながら現場に行くと、ヒロトさんがモダン・ラヴァーズ(ジョナサン・リッチマンがリーダーを務めたバンド)のTシャツを着ていて、思わずのけぞってしまいました(笑)。あと意外なSF好きで、ラファティの『宇宙舟歌』とベスターの『ゴーレム100』の話が出てきたりして、驚きつつも「ああ、なるほどなー」と思ったり。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.12・13・14(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 09月号 [雑誌] Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 10月号 [雑誌] 

1年以上にわたって、なんやかんやとお世話になっていた『テイルズ オブ マガジン』ですが、10月25日発売の14号にて一旦、終刊(なぜかAmazonでは、第14号がリンク切れ……)。関係者のみなさん、お疲れさまでした。3号とも、現在公開中の劇場版『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜』(http://www.tov-movie.net/)の記事を担当。最終号では30ページ近くの大特集で、映画の背景となったスペインの世界遺産・クエンカロケのお話を伺ったりしています(ロケの写真も多数掲載してみました)。アニメーションにおける「ロケハン」に興味のある方は、ぜひご一読いただけるといいかなと思います。


●『SFマガジン』2009年10月号(早川書房

S-Fマガジン 2009年 10月号 [雑誌]

こちらは、隔月レギュラーの「Media Showcase」コラム(ゲーム欄)。この回は、話題の『ラブプラス』を取り上げつつ、なぜか半分以上は「ミクフェス」動画の話を書いている、という……。ここで考えたことは、もう一度ちゃんと練って、書いてみたいなと思うんだけど、いわゆる“ヴァーチャルアイドル”論になっちゃいそうな気もするので、このくらいでいいのかな、と思ったり。


●『メガミマガジン』2009年10・11・12月号(学研)

http://www.e-animedia.net/app/index.php?CMD=JMP&ID=mainpool/megami

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 10月号 [雑誌] Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 11月号 [雑誌] Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 12月号 [雑誌]

こちらは、レギュラーの「キャラクターキャッチアップ」を担当。11月号からは、カラーページに格上げになりました。あと、イベントレポートページも担当。基本的に、実際の執筆作業は事務所の野口くん&岩村くんにお願いして、僕はチェックと取りまとめをやっています。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』第1巻・第2巻・第3巻(アニプレックス

http://www.hagaren.jp/

鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 1 [DVD] 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 2 【DVD】 鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 3 [DVD]

この春から始まった、新シリーズのDVD&BD(商品画像はDVDのものです)。封入パンフレットの構成と執筆を担当しています。制作サイドからの要請もあり、収録話数のシーンをピックアップして、原画の紹介・解説ページを作りました。なんかこういうメイキングの仕事が、やたらと多かった3ヶ月ではありました。このあとお話は、シン国の連中が参入してきて新たな展開に。放映に対する反響も、だんだん大きくなってきたようで嬉しいかぎりです。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST Original Soundtrack 1』(アニプレックス

鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST Original Soundtrack 1

こちらは千住明氏によるサウンドトラック盤。「なんか導入っぽいテキストが欲しい」というオーダーで、封入パンフレットの冒頭に、ちょこっとしたテキストを書きました。結構、〆切まで時間がなかったので、あわてて書いた記憶が……。ワルシャワ・フィルらしい厳粛なサウンドと、各オープニング&エンディングがバランスよく織り交ぜられていて、なかなか素敵なサントラになっていると思います。


●『今日の5の2OAD講談社

http://kc.kodansha.co.jp/gononi/

受注限定生産 DVD付き漫画文庫 「今日の5の2」宝箱

DVDシリーズに参加した延長で、10月6日発売のOAD版でもジャケまわりのあらすじを担当。テレビシリーズからは漏れてしまった、ちょっと心温まるエピソードが4本収録されています。この作業にあたって久しぶりに『5の2』を観てみたんですが、じわじわいいアニメだなー、と。


■……と、こんなものかな? まだ抜けがありそうな気もしますが、それはそれ。思いついたときにでも追加しておきます。

2009年6・7月の営業報告

■はああ……。なんかもう、いろいろテンパっていて、まったく更新する時間が取れません。ホントは仕事の報告だけじゃなくて、いろいろ書きたいこともあるんですが。


■てなわけで、ちょっと気分転換に最近読んだ本の話題を。1冊目は、ドゥエイン・スウィアジンスキーの『メアリー-ケイト』(ハヤカワ文庫)。先月、彼の邦訳2冊目『解雇手当』が出ているのを店頭で見かけて「あれ? この人の前のヤツ、確か買ってたぞ」と思って、本棚から引っ張り出した次第。フィラデルフィア空港のバーで偶然、隣の席に座ったブロンド女に毒を盛られた男、ジャック・アイズリー。最初は「んなバカな」と相手にしていなかったんだけど、吐き気はしてくるわ頭痛はするわで、どうも毒を盛られたってのはホントらしい。あわてて空港に引き返し、ブロンド女をとっ捕まえるが、その女が言うには「解毒剤が欲しければ、わたしから十フィート以上離れないで」。


■とまあ、ここから話はトンでもないところに走り始め、警察官専用のオナニークラブが出てくるわ、生首をバッグに詰めて走り回る殺し屋が出てくるわ、常識外れも甚だしい展開が待っているんですが、いやあ、これがまたバカバカしくて、楽しい。戸梶圭太から生真面目さを抜いてスラップスティック度を100倍にした感じ、というか。もうほとんどマンガ――というか、作者のスウィアジンスキーは実際、アメリカンヒーローコミックスのライター(脚本家)もやっていて、今手がけてるのは『ケーブル』と『イモータルアイアン・フィスト』……かな? 後者は、以前ちらっとここに書き込んだエドブルベイカーの後を引き継いでの登板で、ああ、確かにこのパルプ風味というかノワール趣味は、似ていなくもないかも、と思ったり。


■2冊目&3冊目は、舞城王太郎の短編集『みんな元気。』と『スクールアタック・シンドローム』(どちらも新潮文庫)。というか、単行本版を持ってたんだけど、積読してるうちに文庫化、新作書き下ろしが追加されてたことに気づいて、購入。相変わらずっちゃ相変わらずの舞城節なので、てろてろっと読んでしまって、「中身も相変わらずだなあ」と思ってしまったのだが、後者に収録されている「我が家のトトロ」がいい。表題の「トトロ」というのは、もちろん、宮崎駿監督の『となりのトトロ』のあの「トトロ」のことなのだが、もちろん舞城の想像力は宮崎駿のはるか斜め上にスッ跳んでいく。その飛躍っぷりが、実に美しい。


■というか舞城はかつて、短編「ピコーン!」(『熊の場所』所収)のなかで、松本人志の「フェラチオを出世させよう」ネタで、恋人が殺された女の子の悲しみを昇華させるという荒業をやってのけていて、実はこの短編が彼の最高到達地点だったんじゃないかと思うのだけれど、あそこで書こうとしていたことを、より鋭く、ソリッドな形で提示した感じがあるのだ、この「我が家のトトロ」は。この小説のなかで主人公の「僕」は、こんなふうに思う。

先にも言ったように、僕だって「トトロ」=「ありえないくらい凄い友達」=人間の希望の作り出す架空の存在が欲しいんだろうから。

人間の希望の作り出す架空の存在! つまり、これは舞城にとっての《小説》のことだ(というふうにしか読めない)。ファンタジーというかフィクションこそが、人々の希望である、ということ。それは、ほとんど舞城自身の信仰告白のようでもあって、なんだかその率直さ加減に呆れつつも、どこか感動せずにはいられなかった。


■あとはまあ、瀬山士郎の『はじめての現代数学』(ハヤカワ文庫)を読んで「ふはあ、半分くらいしかわかんないけど、すごい!」と思ってみたり、あるいは、河出文庫から出直した尾崎翠の『第七官界彷徨』と、リュウコミックスから出た、つばなの『第七女子会彷徨』を続けて読んでみたりしたんですが、そんなところで先々月&先月の営業報告に行きます。なんか眠くなってきたので。


●『アニ・クリ15 DVD×マテリアル』(一迅社

http://www.ichijinsha.co.jp/special/anikuri/http://anime.webnt.jp/

アニ・クリ15 DVD×マテリアル (DNAメディアブックス)

NHKで放映されていた、1分間のショートアニメ「アニ・クリ15」をまとめたムック。日本の今のアニメ業界のなかでも、間違いなくトップクラスの映像作家たちが競作したシリーズですが、その全15本とメイキング編をDVDに収録し、ブックレットにはインタビュー&絵コンテ&メイキング素材を掲載、という内容。このうち約半分のインタビュー・鼎談&メイキング素材のチョイスを担当しました(木村真二×マイケル・アリアス×西見祥二郎、前田真宏中澤一登、ソエジマヤスフミ、小田扉×清水保行)。あとの半分は、アニメ評論家の藤津亮太さんが担当。非常に特殊な形態で放映されたこともあって、決して認知度が高いシリーズではないですが、たぶんこれを逃すと、まとめるチャンスはなかったんじゃないかな、と思ったり(この無茶な企画を通してしまった、一迅社の編集さんがスゴいのですが)。「今の日本の商業アニメ」に興味がある人はぜひ手に取ってみてほしい本です。


●『青い花』公式サイト「週刊 青い花

http://www.aoihana.tv/

7月から放映が始まったアニメ『青い花』の公式サイト。志村貴子の原作を、『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』の監督・カサヰケンイチとシリーズ構成・高山文彦(!)のタッグで映像化……というニュースを目にした途端に、「うわー、そうか、その手があったか!」と頭をブン殴られたような気持ちになったのですが、ご縁があって公式サイトのお手伝いをさせてもらうことになりました(毎週更新)。主に、スペシャトークのコーナーのライティングを担当。本編のクオリティもすさまじくて、個人的には夏期のベストテレビアニメ。


●『ダ・ヴィンチ』2009年7月号(メディアファクトリー
●『ダ・ヴィンチ』2009年8月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 07月号 [雑誌] ダ・ヴィンチ 2009年 08月号 [雑誌]

ぼーっとしてたら、もう2号も出てしまってました。7月号は、レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」(レコメンドはオレンジペコー)と、『漂流ネットカフェ』押見修造への取材・執筆を担当。8月号は「ミュージック ダ・ヴィンチ」のみで、こっちのレコメンドはスガシカオ。スガさんとお会いするのは久しぶりだったんですが、なんだかすごくアッパーな感じになっていて、ニューシングルも、そんな彼の今のモードを素直に反映したファンクナンバー。iPodに入れて、繰り返し聞いてます。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.10(角川書店
●『テイルズ オブ マガジン』Vol.11(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 07月号 [雑誌] Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 08月号 [雑誌]

これも、気づいたら2号出ちゃってたんだよなあ。いずれも、10月3日公開の劇場版『テイルズ オブ ヴェスペリア 〜The First Strike〜』(http://www.tov-movie.net/)の記事を担当しました。あとは、レギュラーの「キムラスカ王国通信」。これは基本的に、事務所の野口くんに任せてしまっているので、全体の構成チェックのみ。


●『コンプティーク』2009年8月号(角川書店

http://www.comptiq.com/

コンプティーク 2009年 08月号 [雑誌]

おお、『コンプ』は久しぶりだな。「夏のアニメ特集」と銘打って、この夏の話題作をいくつか取り上げているのですが、そのなかの『けいおん!』を担当……したハズ。というのも、まだ見本誌が届いてなくて中身が確認できてないのですが(笑)。編集者から「澪推しで!」と言われて、誌面もそういうふうになっているのですが、僕は断然「唯派」です。


●『ニュータイプ』2009年8月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2009年 08月号 [雑誌]

まあ、なんつったってこの表紙がすごいですが、担当したのは現在地上波放映中の『亡念のザムド』。アキユキ、ナキアミ、ハル、フルイチのそれぞれの視点から、これまで(第13話くらい)の歩みを振り返る、という内容。


●『コンティニュー』Vol.46(太田出版

http://www.ohtabooks.com/publish/continue/

コンティニューvol.46

よく考えたら、これも『ヱヴァ:破』か!! アスカが表紙の、6月発売号。でもそれとは関係なく(こんなんばっかだな)、第2特集「菅野よう子の宇宙」のうち、菅野さんへのロングインタビューと渡辺信一郎監督への取材・執筆を担当。結構、面白い記事になってるんじゃないかな、と思います(『ユリイカ』の最新号はまだ見てないのですが)。あとは巻頭の「CNT NEWS」で『青い花』放映開始に絡めてアフレコリポート(?)を書きました。


●『S-Fマガジン』2009年8月号(早川書房

S-Fマガジン 2009年 08月号 [雑誌]

隔月レギュラーの「Media Showcase」コーナー(ゲーム欄)。この回は何を取り上げたんだっけな……。あ、そうか『勇者30』だ。これ以外にも『ダン→ダム』とか、変り種のRPGをいくつか集めて取り上げるつもりだったんですが、紙幅の都合で見送り。スティングの意欲作『ナイツ・イン・ザ・ナイトメア』はどっかでやりたかったんだけど、完全に時期を逃しちゃったなあ……。


●『メガミマガジン』2009年8月号(学研)
●『メガミマガジン』2009年9月号(学研)

http://www.e-animedia.net/b_megami.html

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 08月号 [雑誌] Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 09月号 [雑誌]

でもって、これもレギュラーの『メガミマガジン』。毎度のごとく「キャラクターキャッチアップ」を担当。8月号から新たに、イベントレポートも入ったりして、ちょっと構成が変わっています。あと、9月号ではそれまでの流れもあって『ケンプふぁー』『キディ・ガーランド』の2タイトルを担当(実質の作業は、事務所の野口くんが担当してくれました。僕はチェックのみ)。


●『ミチコとハッチン』第6・7巻(メディアファクトリー

http://www.michikotohatchin.com/

ミチコとハッチン Vol.6 [DVD] ミチコとハッチン Vol.7 [DVD]

『ミチハチ』も、いよいよ折り返し地点。ジャケットおよび封入パンフレットのライティングを担当。封入パンフレットでは、ここらへんからスタッフインタビューを載せ始めてます。


●『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります! 豪華版』(角川エンタテインメント

超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります! 豪華版 [DVD]

劇場版第4弾の『ケロロ軍曹』。豪華版に封入されるブックレットのなかの、吉崎観音へのインタビューを担当している……ハズ。というのも、これもまた、担当者が見本を送ってくれないので、確認できていません(笑)。約2時間くらいにわたってじっくりと、今の吉崎さんが『ケロロ』(マンガもテレビも劇場も含めて)をどう捉えてるのか、を伺いました。ちょっと変わったインタビューになってるんじゃにかな、と思ってます。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』パンフレット

7月放映の第14話からシン国からの来訪者、リン・ヤオやメイ・チャンらも参戦して、新章突入! というわけで、それにあわせた販促パンフが店頭で配布されています。その構成&ライティングを担当。


■そして、『バトルスピリッツ 少年突破バシン』(http://www.nagoyatv.com/battlespirits/index.sms)も、ついに最終回まであと1ヶ月になりました。ここんところ、水着回があったり、脇道エピソードがあったりしてましたが、そろそろ最終決戦に向かうハズ。

2009年5月の営業報告

ゴールデンウィーク前くらいまではバカのように忙しかったのですが、ここ1ヶ月くらいは比較的のんびりとした日々。「こんな時間があるときでもなきゃ、やんねえしなあ」と思って、前々から懸案だった田中ロミオ人類は衰退しました』第3巻をめぐる文章をまとめようと思ってたのですが、なんかこう今いちパンチが足りなくて、うろうろと材料を探してると、ビル・ウィリンガムが手がけているコミック『Fables』(Vertigo/DC Comics)がえらく面白くて、ああ、そうか。「妖精たちの国」ってのはこういうことだったのか、とひとり合点してたりするんですが、肝心の文章は全然まとまる気配すらない。


■んがー、それじゃダメじゃん。と、もうひとつ、途中まで書き進めて止まっている、宮崎駿監督『崖の上のポニョ』についての文章に再度着手したところで、『劇場版 交響詩篇エウレカセブン』が公開になり、この2作品の共通点をつらつらと考えていたら(両作とも童話にインスパイアされていること、海をめぐる物語であること、物語の幕を閉じるのが「老婆」であること……)、ふと、これって江藤淳が『成熟と喪失』で提起した問題に通じるところがあるんじゃ……? と思い、前に読んだのは大学生のときだから、いやはや10ン年ぶりとかに読み直して、小島信夫抱擁家族』の読解のあまりの的確さに舌を巻きつつ、唐突に言及される「昭和天皇マッカーサー元帥が並んで映っている写真」とそこから「父の不在」へと論を運んでいく、江藤の(あまりといえばあまりな)論旨展開に唖然とするわけです。なんというか、今さらこれはないよな。


■とはいえ、江藤の“成熟”をめぐる思考には、どこか筋の通った社会批評の肌触りを感じないわけでもなくて、というかむしろ、今の日本のフィクションがいろんな形で取り上げている“未成熟”の問題は、ほとんど江藤の論の射程から逃れていないように思えたりする。これはまた後でじっくり考えてみるべきポイントなのだけれども、今から40年近く前のこの論文――というか随想?――で、江藤は「第三の新人安岡章太郎小島信夫遠藤周作吉行淳之介庄野潤三)」の作品群に、「父になることを拒絶し、母になろうとする男たち」と「母になることを拒否し、女となることをもまた拒否する女たち」を見出す。そしてそれを、日本の近代化――明治期のそれと戦後のそれ――に、二重にだぶらせつつ論を進めていく。


■もちろん江藤の主眼は、単純な社会反映論では留まることがなくて、むしろそのように“引き裂かれてある状況”に、作者がどこまで敏感に反応しているのか――作品を書き進めていく書き手の意識というか反射神経のようなものを、作品からえぐり出そうとしているわけで、そこにこそ江藤の明晰さはある。だがそれと同時に、その明晰さは「成熟する/しない」というレベルの問題の、さらにその先を予感させて、たぶん、私たちはこれから先、きっと「成熟しない」し、「喪失」の記憶すらもうあやふやになっていく(事実、私たちは喪失したことさえ喪失してしまっている。江藤がW村上を評価したのは、たぶんその「喪失の喪失」ゆえだと思う)。そして、そんな“引き裂かれてある状況”において、果たして「成熟を物語ること」は可能なのか? というところが、今の私たちが直面している事態なのだと思うのです。


■……てなところから『ポニョ』と『劇レカ』の再検討を始めてみたはいいものの、とんでもなく時間がかかる作業になるのは必至なので、ビビッて手が止まっているわけです。ああ、批評なんて暇な人にしかできないわけだよな。とはいえ、せっかく手をつけたので、なんとか『ポニョ』のDVD発売までには完成させたいな……。


■ってなところで、貧乏暇なしな先月の営業報告。レギュラーの仕事がメインだったみたいです。


●アニメ:Newtypeチャンネル

http://anime.webnt.jp/

映像配信ポータルサイトですが、5月に更新された特集記事『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇』と『交響詩篇エウレカセブン』(劇場版のみ)の執筆を担当しました。『グレン』は、公開日&公開翌日に開催された舞台挨拶の密着リポート……ということで、朝イチで池袋に行って、お客さんと一緒に『螺巌篇』を見て、それから吉祥寺に移動した後、新宿で取材。さらに翌日は、横浜まで出かけて舞台挨拶を2回見る、という超強行スケジュール。お客さんの盛り上がりが間近で見られるのは、やっぱり楽しいな。


●『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』公式サイト

http://www.sonymusic.co.jp/Animation/hagaren/

この4月から放映中のアニメ『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』。この公式サイトでは「東京国際アニメフェア2009」のリポートなど、いくつかのテキストをお手伝いしています(無記名)。そのなかの「CENTRAL TIMES」は、劇中で起こった事件を新聞記事風にプレイバックする、というもの(不定期更新)。こういう偽記事を書くのは楽しいですねえ。


●『ダ・ヴィンチ』2009年6月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 06月号 [雑誌]

松山ケンイチが表紙で、第一特集は小川洋子(第二特集は『鋼の錬金術師』……)。担当したのは、レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」。レコメンドで取り上げたのは、おおはた雄一×クリス智子の『lost&found』。それに加えて、巻頭「あの人と本の話」で、菊地成孔にインタビューしました。ずーっと「取材したいなあ」と思っていた菊地さんと初めてお会いして、かなり緊張。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.9(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 06月号 [雑誌]

先月、最もヘヴィだった仕事がこれ。アニメ版『テイルズ オブ ジ アビス』の完結を記念して、80ページの小冊子を担当。ゴールデンウィーク進行で、通常より10日間ほど進行が早く、しかも単純に物量が多かったので四苦八苦。いろいろ不満はありますが、とりあえず現状で押さえるべきところは押さえられたかな……。基本的には事務所の野口くんがライティングとページ構成をやってくれて、僕は全体のディレクションと原稿チェック、あとはいくつかのページ(美術設定パートやインタビュー)のライティングを担当。


●『ニュータイプ』2009年6月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2009年 06月号 [雑誌]

表紙は『鋼の錬金術師』(ここでもか……)。担当したのは、最後の方のページに載っている「SHIMBO THE WORLD」という、新房監督の新作2本(『夏のあらし』と『化物語』)を扱った小特集。「ニュータイプ」にしてはたっぷり目に文字を取って、監督へのインタビューをやっています。いつもながらの居酒屋での取材だったのですが、比較的、今の新房監督作品のクリティカルな部分を押さえた記事になったんじゃないかな、と思っています。


●『メガミマガジン』2009年7月号(学研)

http://www.e-animedia.net/b_megami.html

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 07月号 [雑誌]

毎度のことですが、レギュラー「キャラクターキャッチアップ」を担当。ページは4ページと少なかったんですが、ちょっとページの進行方法を変えたこともあって、ややドタバタ。全体の構成と原稿チェックを担当。


●『ミチコとハッチン』第5巻(メディアファクトリー

http://www.michikotohatchin.com/

ミチコとハッチン Vol.5 [DVD] ミチコとハッチン Vol.5 [Blu-ray]

まだまだ続くDVDシリーズ。第5巻は、ちっちゃな黒人の女の子・リタとハッチンの友情を描く第9話「恋したショコラッチ・ガール」と、玉蜀黍畑での逃亡劇が見ものな第10話「ハイエナどものカーニバル」を収録。ジャケットおよび封入パンフレットのライティングを担当。※なぜかAmazonのジャケット写真がイメージビジュアルですが、本チャンはハッチンとリタがサーカスで空中浮遊を披露してるビジュアル。かわいいです。


■そんでもって、好評放映中の『バトルスピリッツ 少年突破バシン』(http://www.nagoyatv.com/battlespirits/index.sms)ですが、いよいよ第4クールに突入。サウスピ団の幹部となり、バシンたちと袂を分けたJ、そんな彼に対してバシンは……。中学生編に突入してからは、ちょっぴりシリアスな展開が続く……のかな? 僕が担当した第40話「突破・ファミリーとチームの間で」は、6月14日放映です。これで、僕が担当した脚本回はすべて終了。放映を前に、ちょっとドキドキしています。またDVDも絶賛リリース中。こちらもよろしくお願いしますです。

バトルスピリッツ 少年突破バシン1 [DVD] バトルスピリッツ 少年突破バシン 2 [DVD] バトルスピリッツ 少年突破バシン 3 [DVD]

2009年4月の営業報告

■去年、お手伝いさせていただいたお仕事のひとつに『レオナルド博士とキリン村のなかまたち』というフラッシュアニメがありました。詳しくは、http://www.ften.jp/movie/virep_cm.htmlをご覧いただきたいのですが(web版の動画もあります)、テレビ東京系で放映されていた「ファイテンション☆テレビ」という番組内の1コーナーで、監督はべんぴねこさん。何本かの脚本で参加させていただいたのですが、このたびめでたくDVD化が決定しました! ……といっても、今回ソフト化されるのは、全26話から厳選された16本。しかも普通にリリースされるわけではなく、期間限定受注生産。つまり、注文があった分だけ作る方式なわけですね。なので、この機会を逃すともう二度と手に入らない可能性があります(笑)。DLEの通販サイト(http://www.dle-shop.jp//ケータイの方は、http://www.dle-shop.jp/m/)で5月15日まで予約できますので、よろしければぜひ。僕も買います。


■というわけで、4月リリース分の営業報告です。今月は、イレギュラーな仕事が多かった……のかな?


●『亡念のザムド』公式サイト

http://www.xamd.jp/

地上波放映も始まった『ザムド』ですが、「スペシャル」コーナーの新コンテンツ「用語集」のライティングを担当しました。かなり特殊な言語感覚の作品なので、視聴の際の参考にしていただけるといいかなあ、と思います。あと、DVD&ブルーレイの発売も発表されてますね。


●『ダ・ヴィンチ』2009年5月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダ・ヴィンチ 2009年 05月号 [雑誌]

表紙は掘北真希な“15周年記念”号。レギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」に加えて、15周年記念の「プラチナマンガランキング150」特集にアンケートで参加しました。「ミュージック ダ・ヴィンチ」のレコメンドで取り上げたのは、清竜人のミニアルバム『PHILOSOPHY』。すでに各方面で話題になり始めていますが、とても印象的な声と個性を持ったアーティスト。どこの文脈に根ざしてるわけでもなく、ひょいとこういう人が出てくるのが、音楽の面白いところだなと思います。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.8(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of magazine VO.8 2009年 05月号 [雑誌]

引き続き、アニメ版『テイルズ オブ ジ アビス』のページを担当。全体のディレクションおよび原稿チェックを担当。


●『ニュータイプ』2009年5月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2009年 05月号 [雑誌]

表紙は『シャングリ・ラ』。春の新番組特集ということで『アスラクライン』の取材&執筆を担当。『ニュータイプ』では最近、本文のないページ構成が多くなってきているのですが(よりキャラクターに焦点をあわせたページになってるってことですね)、作品の全体像をいかにコンパクトにまとめて誌面に反映させるかが、考えどころだなあ、と。


●『CONTINUE』Vol.45(太田出版

http://www.ohtabooks.com/continue/

コンティニューvol.45

表紙&第一特集は『劇場版 交響詩篇エウレカセブン』。で、ちらっと短いコラムを書かせていただきました(テレビシリーズ後のイベントで上演された「第51話 ニューオーダー」について)。あと、第二特集の『ソウルイーター』で、南雅彦プロデューサーとシリーズ構成の大和屋暁の対談記事を、また「CNT EXPRESS」のコーナーで『神のみぞ知るセカイ』の作者・若木民喜への取材&執筆を担当しています。こうして書くといろいろやってそうに見えますが、量としては大したことはありません(笑)。


■ここからは、個人的な追記。取材で、大和屋暁さんと初めてお会いできたのは、とても嬉しかった。僕がアニメの仕事を始めるにあたって、彼が脚本で参加した『おジャ魔女どれみ』の影響はすごく強い。「ああいう仕事をやりたいな」と思って、紆余曲折の末、『少年突破バシン』の脚本に(偶然にしろ)参加させていただけたのだから、感謝してもし尽くせません。


■あと、これはあくまで個人的な感想なのですが、巻頭の京田監督への7万字インタビューを読んで、……うーん、これじゃダメだろうと正直、思いました。インタビュアーの林編集長は(自分でも書いているところですが)、ツッコミどころをことごとくスルーしてる。しかもそれに輪をかけて問題なのは、最終的に『エウレカ』を“同世代感”に回収しようとしてしまっている。『劇場版エウレカ』が、京田知己という個人の色に強く依存した作品なのは間違いないのですが、しかしそれを“同世代”などという、もやもやとしたものに回収してしまうのは、作品にとって端的に不幸である――と、本編を観た後には、なおのこと強くそう思います。


●『このアニメがすごい!2009』(宝島社)

http://tkj.jp/book/?cd=01699001

このアニメがすごい! 2009

宝島社から出ている年刊ムック。去年からの参加ですが、今年もアンケートで参加。……なんですが、あまり何も考えずに選んだので、参考になるかどうか。あと、年間ランキングで『崖の上のポニョ』が9位になってしまうあたりに、今のアニメのコア視聴者層と大衆との乖離が、端的に表れている気がします。……すいません、ウソです。


●『メガミマガジン』2009年6月号(学研)

http://www.e-animedia.net/b_megami.html

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 06月号 [雑誌]

毎月のレギュラー「キャラクターキャッチアップ」のみ。今月は5ページだったのですが、ゴールデンウィーク進行と丸かぶりで、いろいろ大変でした(って先月もそんなことを書いた気がする)。


●『劇場版 天元突破グレンラガン 螺巌篇』劇場パンフレット

http://www.gurren-lagann-movie.net/

4月25日から公開になっている、劇場版『グレンラガン』。完結編となる『螺巌篇』の劇場パンフを『紅蓮篇』に引き続き。担当したのは、キャラクター紹介と声優陣へのインタビュー、あと出張版「作画の鬼」「撮影虎の穴」のメイキングページ。『グレンラガン』とは、テレビシリーズ版の頃からのおつきあいでしたが、これにてプロジェクトも一旦、完結。初日の舞台挨拶にも(仕事で)お邪魔したのですが、ファンの人たちとスクリーンを見上げながら、何かとても感慨深いものがありました。映画本編については、また項を改めて書ければな、と思っています。


●『公式ガイドブック 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=200901000527

公式ガイドブック 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい

こちらも同じく、4月25日から公開になった『劇場版 交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』の、公式ガイドブック。担当したのは、村木靖特技監督、デザイナーのコヤマシゲト、メカデザインの柳瀬敬之南雅彦プロデューサーへのインタビュー。上で書いた『CONTINUE』のロングインタビューとも絡む話題ですが、この『劇場版エウレカセブン』については、その過激な(といっても物語だけじゃなくて、表現方法においても)内容から、賛否両論が出てきそうだなと思っていましたが、結局何が問題なのかというクリティカルなポイントを、誰も上手く言語化できていないような気がします(それはもちろん、僕自身も含めて)。


●『ミチコとハッチン』第4巻(メディアファクトリー

http://www.michikotohatchin.com/

ミチコとハッチン Vol.4 [DVD] ミチコとハッチン Vol.4 [Blu-ray]

テレビシリーズの放映は終わってしまいましたが、DVDはまだまだ続きます。この第4巻には、第7話&第8話を収録。第7話はXEBECの、第8話はガイナックスグロス回(絵コンテ・演出は『バスカッシュ!』の板垣伸)だったんですが、どちらもクオリティの高い回になっていると思いました。ジャケットおよび封入パンフレットのライティングを担当。


■そして、こちらも好評放映中の『バトルスピリッツ 少年突破バシン』(http://www.nagoyatv.com/battlespirits/index.sms)。前のエントリでも触れましたが、僕が脚本を担当した第34話が、5月3日に放映されます。DVDも絶賛リリース中です。こちらもよろしくお願いします!

2009年3月の営業報告

●『ポケモンを創った男』(メディアファクトリー

田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

■ご報告がギリギリになってしまいましたが、以前、太田出版から出した田尻智のインタビュー集『ポケモンを創った男』が、このたび文庫化されます。ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、田尻氏は、いわずと知れた世界的ヒットゲーム『ポケットモンスター』の生みの親。また、アーケードゲーム時代に「ゲームフリーク」という――当時、まだ珍しかったゲーム同人誌を自費出版し、その後、商業ライターとして活躍していた先輩ライターでもあります。


■この本は、もともと「CONTINUE」誌に4回にわたって掲載されたロングインタビューをまとめたものですが、そのインタビューは『ポケモン』に至るまでの――彼のバックグラウンドというか、プライベートヒストリーを聞こう、という意図のもと行われました。結果として、70年代中盤から90年代までのさまざまな文化事象を振り返るような内容になりました(そのぶん、肝心のビデオゲームに関する話題が深く掘り下げられなかった感もあるのですが……。これはまあ、僕なんかよりももっと適任の方がいるのではないか、という気がします)が、今回の文庫化に際して、改めて読み直してみて――いくつか風化してしまった、というか、僕自身の問題意識が他に移ってしまっている部分もありつつ、大枠では決して古びていないものになっているな、と思いました。


■ある意味、1970年代から1980年代という時期は、ここ日本において、最も“サブカルチャー”が“サブ”カルチャーたりえた時代だったのではないか、と思います。言い換えれば、瑣末な情報・知識の「瑣末さ」が、ある種の輝きを持っていた時代、というか。ハイカルチャーポップカルチャーサブカルチャーが、一体となって、ある強度を持ちえていたように(今の視点からでは)見えます。そして、その「瑣末さ」は「重厚長大」な文化や社会に対するカウンターとして機能していた。しかし、たぶん90年代に入ると、そのような「瑣末さ」が機能失調を起こしたのではないか、と思うのです。そしてそこで田尻は、自分の幼少時代の経験を、徹底的に抽象化・純化することで『ポケットモンスター』を生み出した。今回、この本を改めて読み直してみて、実はそこが『ポケモン』の凄さだったのではないか、と思ったりしました。


(※この項、誤字とか読みにくい箇所とかがあったので、若干加筆しました。2009.4.25)


■さて、そんなこんながありつつ、すっかり遅くなった3月リリース分の営業報告です。


●『ダ・ヴィンチ』2009年4月号(メディアファクトリー

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

ダヴィンチ 2009/04月号

表紙は竹内結子阿部寛で、第一特集は海堂尊。で、担当したのはレギュラーの「ミュージック ダ・ヴィンチ」。今月のレコメンドでは、MCUの『SHU・HA・RI』を取り上げました。アルバムが彼の原点回帰(?)的な内容だったこともあって、80年代の東京のサブカルチャーのことを聞いてみたり。まあ、本文ではばっさりカットしちゃってるんですが。


●『テイルズ オブ マガジン』Vol.7(角川書店

http://www.kadokawa.co.jp/mag/bknum.php?tp=comptiq

Tales of Magazine (テイルズ・オブ・マガジン) 2009年 04月号 [雑誌]

先月に引き続き、アニメ版『テイルズ オブ ジ アビス』のページを担当。最終回直後の号ということもあって(というか、実際に作業をしているときは、まさにクライマックス直前だったのですが)、けっこうバタバタの進行になりました。全体のディレクションおよび原稿チェックを担当。


●『ニュータイプ』2009年4月号(角川書店

http://anime.webnt.jp/nt-backnumber/detail.php?mag=1&latest=1

Newtype (ニュータイプ) 2009年 04月号 [雑誌]

表紙は『ガンダム00』。……ですが、まあやっぱり、そんなこととは関係なく、担当したのは『Phantom Requiem for the Phantom』と『とらドラ!』。ここのところ毎月、なんだかんだと『ニュータイプ』に記事を書かせてもらえてます。


●メーカー横断新作アニメガイド(フリーペーパー)

東京国際アニメフェアにあわせて、国内の主要ビデオメーカーが合同で出したフリーペーパー。内容は、これから放映・発売される新番組アニメの紹介がメイン。『07-GHOST』と『NEEDLESS』の2タイトルを担当しました(取材&テキスト)。……と、ここで勘のいい方ならおわかりの通り、どちらもエイベックス・エンタテインメントの作品。というわけで、エイベックスの映像部門が毎月発行しているPR用フリーペーパー「pam!」にも一部、原稿を書いてます。


●『STRANGE FICTION』(早川書房

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/720925.html

早川から《想像力の文学》という新しいレーベルが立ち上がったのですが(http://www.hayakawa-online.co.jp/news/detail_news.php?news_id=00000230)、その刊行を記念してリリースされたもの(SFマガジン5月臨時増刊号)。同レーベルから、初めての長編小説『ミサキラヂオ』を出した瀬川深にインタビューをしています。彼の小説に繰り返し登場する“音楽”や“共同体”といったモチーフに焦点を絞って、お話を伺ったのですが、もちろん小説というのはそれほど単純明快なものではありません。インタビュー前に『ミサキラヂオ』のゲラを読んで深く感じ入ったのは、なによりもまず、瀬川が繰り出す言葉の繊細さ、そしてどこかおおらかなユーモアの感覚でした。ほぼ同年代からこういう作家が登場したことは、素直にとても心強い。そう思います。

ミサキラヂオ (想像力の文学)

あと、このムックには佐藤亜紀佐藤哲也北野勇作といった面々の短編小説が収められていて、どれも非常に面白く読めました。特に、円城塔大谷能生、木下古栗の諸作がお気に入り。にしても、円城さんはすごいペースで短編を書いてるよなあ。


●『キャラ☆メル』Vol.8(一迅社

http://ichijinsha.co.jp/charamel/index.html

キャラ ★ メル 2009年 05月号 [雑誌]

こちらは一迅社が出している、隔月の“萌え”系キャラクターマガジン。表紙は『かんなぎ』なのですが、担当したのは『劇場版天元突破グレンラガン 螺巌篇』。……って全然、萌えと関係ねえ!(笑) 『螺巌篇』のメインヒロインであるニア役の福井裕佳梨中島かずきの対談取材がメイン。あと『キラメキ☆ヨーコBOX』の情報も載ってます。実は取材の際に『ヨーコBOX』の映像を見せてもらったんですが、これが実にいい! キャラデ・作画監督である錦織敦史の煩悩が炸裂した、素晴らしい一品。僕も買います。


●『メガミマガジン』2009年5月号(学研)

http://www.e-animedia.net/b_megami.html

Megami MAGAZINE (メガミマガジン) 2009年 05月号 [雑誌]

表紙は『CLANNAD AFTER STORY』。担当は、レギュラーの「キャラクターキャッチアップ」のみでしたが、新番組直前の時期ということもあり、今月は6ページ! なんかいろいろと大変でした。


●『今日の5の2』冬巻(キングレコード

http://www.starchild.co.jp/special/gononi/

今日の5の2 冬(初回限定版) [DVD]

今日の5の2』DVDシリーズも、これで最終巻。第10話〜第12話までを収録。学級日誌の当番は“噂の夫婦”こと、佐藤リョータ&小泉チカの幼なじみコンビ。『5の2』は、OADの発売も決まったみたいですね。


●『ミチコとハッチン』第3巻(メディアファクトリー

http://www.michikotohatchin.com/

ミチコとハッチン Vol.3 [DVD] ミチコとハッチン Vol.3 [Blu-ray]

レギュラーでお仕事をさせてもらっている『ミチハチ』。この巻には第5話&第6話の前後編「愚か者たちのサウダージ」が収録されています。ジャケットおよび封入パンフレットのライティングを担当。


■あと、引き続き『バトルスピリッツ 少年突破バシン』(http://www.nagoyatv.com/battlespirits/index.sms)も放映中。中学編に入って、ちょっと雰囲気が変わってきました。僕が脚本を担当した第34話は、たぶん5月3日放映予定(てことは約2ヵ月ぶりになるのか)。でも、もしかしたらゴルフ中継が入って、10日になってるかも?