「R25」と宗教

■駅なんかで配布されてるフリーペーパーに「R25」というのがあって(発行元はリクルート)、まあ時事ネタとか最近のオモシロネタとかをサクッとコラムにまとめてみました。みたいな内容なのだが、ふーんと流し読みしつつ、唐突に連想したのは菊地成孔がソロ名義で出したポップシングル「普通の恋」のことだった。


■というのもこの「普通の恋」は、「11歳でドストエフスキー、15歳でエヴァンゲリオン、最悪のコースに溺れて」「世界を毎日呪い続けて」いるリストカット癖のある男の子と、自分が「子供の頃にパパにされたことに対する復讐」をしてることにも気づかずに宗教の代わりにチョコレートを睡眠導入薬に使ってる女の子が、コンビニで出会って恋に落ちる。という歌で、ここで重要なのは、そう「15歳でエヴァンゲリオン」のくだり。“彼”がリアルタイムで『エヴァ』を観ていたとすれば、今年で24か25歳になってるはずで、ティーンエイジの焦燥とか鬱陶しさとかそういうモノのド真ん中にいた男の子もまた、こうして「R25」のようなフリーペーパーを手に取るような(というか、そのようにマーケティングされている)世代になっているんだなあ、と。


■ポップサイドの菊地成孔は、ときどきこんな「ボーイ・ミーツ・ガール」の楽曲を書いていて、第2期スパンク・ハッピー誕生の顛末を描いた「THEME SONG UNDER THE CLOUDY HEAVEN」があり、父親の持ってたトレーシー・ローズのビデオに感化された日本人の女の子と、80年代のド真ん中にいて放蕩の限りを尽くしたオヤジ(だと思う)が、オーストリアのクラブで出会うっていう「ヴァンドーム・ラ・シック・カイセキ」があり(この曲はホントに傑作だと思う。元ネタはたぶんフェリックス・ダ・ハウスキャット)、そして「普通の恋」がある。うーん、こういうだらしなくて皮肉が効いてて、ちょっと切ない感触はいいなと思う。


■てゆうか、ずっとハリウッド映画。みたいな、物語原理主義っつーか物語のためにすべてがキレイに配置されてるっつーか、そういうモノにばかりこの半年ほどどっぷり浸かっていて、ちょっと飽きてきてはいるんですよ。敵がどうしたとか、ホントに信じられるものがどうしたとか。キャッチーな物語原理というか。ま、そっちも重要なんだけど、最近はちょっとそうじゃないモノが欲しいな、とか思っていたりもして。


■あと、菊地成孔つながりでいくと、彼が『クイック・ジャパン』で「第2期DCPRGは宗教を目指す」みたいな発言をしてて、そっかーとか思ってて、やっぱ宗教を真面目に考えないといけないのかなあと思いつつ、でも橋本治は「もう宗教なんかいらない、てゆうか日本人は(実質的に)宗教を必要としなくなっちゃってるよね?」みたいな話を書いてて(たしか『貧乏は正しい!』のどっか)、そうはいっても、ブッシュ再選のニュースをつらつら観てると、やっぱやんないとダメかあ、みたいな気分にもなってたりします。